水を庭に引き込む!

僕の守備範囲は、愛知県内と多治見あたりくらいまでだった。この庭は三重県のいなべ市。とても遠く、事務所から2時間はかかる場所にある。そんな遠くの現場を引き受けたのは、敷地の条件が魅力的だったからだ。

「庭に、川をつくりたいんだけど。面白そうだろ?」と顔見知りだったクライアントから庭造りの相談を受けた。庭に川だって?なんて面白そうなんだと思った。しかも職人さんに頼まずに僕が自分で作りたいと思ってしまった。話を聞いてみるとなかなか条件がある。まずコンクリートなどの人工物は使いたくない。石なども現場で調達できるもので作りたいなど、すごく自然思考である。それもそのはず、このクライアントの生活は自然に寄り添っていた。冷蔵庫もなく、電話は黒電話だし、古民家に住んでるし、布おむつだし。いや、参りました。こんな生活している人がいるなんて、すごく興味を持って是非庭造りを共有したいと思った。そして、いなべ通いが始まった。まず、水量は結構多いので、川と途中に池を造ることにした。池は子供が泳げるくらい大きいほうがいい。池の周りの土留めは現場の石を組んで、砂利は近くから拾って来た。そして川と池の底は、ため池などで使う粘土を叩き込んだ。これが大変だった。叩いて叩いて、水を張って、漏れて、叩いて、漏れてを何度か繰り返した。最終的には漏れもなく川と池が完成した。この場所もこれから雑草がたくさん生えて、自然の風景に馴染んでいくに違いない。この庭は、雑草が生えて欲しい。たくさん。こういう庭は、将来が楽しみだ。

雑草、生えてくれ!