ル・コルビュジェのサヴォワ邸にいく(中編) 2014フランス旅#011
サヴォワ邸を眺めてみる
この建築は、写真よりも大きく見えました。建物の周りが全て芝生で結構な広さがあるので、建物を隠すものが何もないせいかもしれません。東西南北とぐるっと回って見ても、どの方向からもきれいな白い箱が浮かんで見えます。私だったら建物の近い位置に樹を植えたくなってしまいます。窓のそばに枝が見えた方がいいのになと考えてしまいました。
日本の建築、特に住宅はサイディングの外壁がとても多く、どうしても工業的な印象が拭えません。たまに塗壁や木の外壁がありますが数は少なくなっています。このサヴォワ邸は大きいスケールですが、手仕事感の匂いがします。外壁も内装も職人さんの息遣いが残っているようです。「匂い」といえば、少し前に中村好文さんの見学会で中村さんがおっしゃっていたことがあります。いい建築には、その設計者の匂いがするのだと。確かに印象に残る建築には癖というか「匂い」を感じることがあります。もちろん、このサヴォワ邸からもプンプン匂ってきますよ。
建築と周りの環境を考える
サヴォワ邸の周りは芝生があり、少し間をおいて林が取り囲んでいます。建築の周りには樹はなく、芝生があるのみです。先日のロンシャンの礼拝堂もそんな雰囲気がありました。コルビュジェさんは、建物の周りはスッキリとさせたい性格だったのでしょうか。でも少し考えると建築に対する自信がすごくあるのではないかと思いつきました。私が住宅の外構計画などしていると、住宅の設計者さんからよく言われるのは、ここは植栽で隠して欲しいとか、緑とんの術といって緑で建築を引き立てて欲しいとか。植栽と建築はいいパートナーですし、コラボレーションは大事ですが建築のアラ隠しに使われるのは心外です。その点サヴォワ邸は、隠そうともせず、隠れもせず、潔い。もっと好きになりました。