地域の風景につながる地産地消の庭づくり
なるべくその場所の材料を使う地産地消の庭づくり
地域の風景に馴染むには、その地域で採れる石などを使うことが基本です。お客様の要望を聞いてみると、珍しいものや他の人がやっていないものなどを求められることもよくあります。ただ、その場所に住んでいない人から見るとその場所から生まれてくる材料はその場所特有のものである場合が多く、希少なものです。
この現場の写真は、静岡県ですが富士の麓から出る石を使っています。地元の人々には珍しいものではありませんが、愛知県の私から見たらとても魅力的な材料です。愛知県には愛知県の石があり、静岡には静岡の石がある。その色合いや質感がその場所の歴史を感じさせてくれると思って、なるべく近くから採れる石を使うことにしています。
周辺の海辺の色合いと庭のつながりを考える
この現場は海の近くでした。石の色と海辺の色合いがほとんど同じです。
やはり、山から石が出て、そのうち海へとつながっていくのでしょう。その場所のつながりを考えて庭づくりをしていきたいと思います。
ただ、庭のテラスなどの平坦な場所が欲しいところには平たい石が欲しいものです。日本では砂岩はほとんど採れないので、平たい石が欲しい時は海外の石を使うこともあります。その時はなるべく落ち着いた色合いの石を選ぶようにして、異国感が出ないように気をつけています。
このグローバルな世の中で、世界中の石が輸入されているのに地元の石を使うことはグローバルな視点に欠けると思われるかもしれません。しかし、地元の石を使うことでその場所の風景をつくることは、その場所にしかない固有の風景を守ることなのです。